第5章 そのほか変わった点

(1)固定資産について

減価償却する固定資産(以下 償却資産と言います)について基本的な考え方は変わっていません。

しかし、一部には変わった点があります。

  【旧基準】   【新基準】
減価償却計算の考え方     変わりません
減価償却方法の多様化 原則、「定額法」 「定額法」だけでなく「定率法」も認める
その他     リース資産も対象に


(2)国庫補助金等特別積立金について

固定資産の取得に充てられるための補助金は、その取得した固定資産の償却期間にわたって減価償却費を軽減させることになります。

その償却期間に対応させるための技術的な繰延科目として、「国庫補助金等特別積立金」が設けられました。

その基本的な考え方は、変わっていません。

しかし、以下の点が変わりました。

  【旧基準】   【新基準】
整備時分の積立金について 
考え方 変わりません
対象とする範囲 固定資産だけ 固定資産だけでなく、消耗品等も対象に
償還補助分の積立金について
計上の有無 計上しない 計上する
その他
表示位置の変更 事業活動の収益  ⇒ 事業活動の費用のマイナス


上記(1)(2)は重要で、実務では避けて通れませんので、 「【第2回】 これを機会に、償却資産について学ぼう!」 において詳しく説明します。



(3)内部取引について

内部取引については、「旧基準」では、科目によって区分表示したりしなかったり整備されていませんでした。

「新基準」では、原則すべて表示することになり科目が整備されました。(やたらと増えてしまいました)

一旦全部仕訳しますが、法人内部だけの取引であり外部には示す必要はないということで、最終的には相殺することになりました。

財務諸表のうち、区分内訳を表す「資金収支内訳表」「事業活動内訳表」「貸借対照表内訳表」をご覧ください。そのいずれにも相殺するための[内部取引消去]の欄があることでわかります。

ただ、相殺してしまうと取引実態が分かりにくくなります。

そこで、それを補うために附属明細書(「事業区分間及び拠点区分間繰入金明細書」「事業区分間及び拠点区分間貸付金(借入金)残高明細書」)の作成が必要になりました。


詳しくは、 Q6 内部取引の取り扱いについてをご覧ください。


「新基準」の概略を説明しました。なんとなくイメージは掴んで頂けましたか?



【実践編】 として、あと3回の予定で、以下のテーマを展開します。

是非、一緒に学びましょう。




【第2回】 これを機会に、償却資産について学ぼう!