第3章 減損会計の導入
(1)本来の減損会計
固定資産の減損とは、ある固定資産に投入した資金に対し、それほどの効果が得られない、すなわち投資額の回収が見込めなくなった状態をいいます。
このような状態になった固定資産について、将来にわたって生み出す利益を想定して現在価値を算定し、その金額が期末帳簿価額より小さかったら、その計算された現在価値(回収できる金額)まで帳簿価額を減額させる会計処理が減損会計です。
簡単に言うと、これから役に立つ現在価値を算定して、簿価より下がっていたら評価を下げなさいと言うことです。
減損会計は、個々の固定資産ごとに減損を認識、測定しません。資産グループごとに、回収可能性を判断します。
通常資産グループは、拠点区分(通常各施設)単位になるでしょう。
本来の減損会計はこのようなものですが・・・・・・・。
社会福祉法人の場合、利益や資金の回収可能性をあまり考慮しませんし、計画的に事業に使用している固定資産を、その時の時価に置き換える必要はないと考えます。
従って、本来の減損会計の適用ケースはほとんど必要ないと思われます。
※「社会福祉法人会計基準」(平成23年7月27日通知)第4章3(6)後段に記載のとおり、「できる」規定になっています。
(2)強制評価減の適用
ここでは、減損会計に類似するものとして資産の強制評価減について説明します。
以下の資産の時価が50%超下落し、なおかつもう回復する見込がないと法人が判断した場合、評価損を計上して帳簿価額を減少させます。
対象となる資産は、有価証券、投資有価証券、棚卸資産、有形固定資産、無形固定資産になります。
なお、有形固定資産、無形固定資産(有形固定資産等)のうち、計画的に事業に使用しているものや耐用年数の短いもの(たとえば10年以内)は除外してもよいと考えます。
社会福祉法人の場合、減価償却により収益と対応させて時の経過により価値を下げていることで十分と思われるからです。
従って、有形固定資産等は、現在使用していない土地、建物、構築物で、今後も使用の予定のないもの(遊休資産)のみを対象とします。
こちら Q5.6.2 強制評価減の内容について教えてください。もご覧ください。