社会福祉法人会計基準 Q&A (会計実践編)

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4.1.9  棚卸しについて

 

Q4.1.9.1 これまで当施設では決算時に棚卸しをしていません。新基準移行にあたり今後行う必要がありますか?
Q4.1.9.2 貸借対照表の勘定科目のうち、決算時の棚卸しで利用する勘定科目は何ですか?
Q4.1.9.3 棚卸資産について、「資金収支計算書」上は購入時に処理、「事業活動計算書」上は販売等の時に処理するとされていますがどういうことでしょうか?
Q4.1.9.4 決算における棚卸高の仕訳を教えてください。
Q4.1.9.5 決算における商品、製品、仕掛品の棚卸高は、どのように計算したらいいですか?
Q4.1.9.6 就労支援事業において、製品、原材料はだいたい常に一定で、金額的にもわずかです。
棚卸は、省略できますか?


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4.1.9.1  これまで当施設では決算時に棚卸しをしていません。新基準移行にあたり今後行う必要がありますか?

  旧基準においても棚卸しは必要でした。未実施であったのであれば、新基準への移行を機に検討してください。


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4.1.9.2  貸借対照表の勘定科目のうち、決算時の棚卸しで利用する勘定科目は何ですか?

  流動資産内の、貯蔵品、医薬品、診療・療養費等材料、給食用材料、商品・製品、仕掛品、原材料となります。


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4.1.9.3  棚卸資産について、「資金収支計算書」上は購入時に処理、「事業活動計算書」上は販売等の時に処理するとされていますがどういうことでしょうか?

  商品・製品、仕掛品、原材料等棚卸資産は、支払資金ではないと扱われます。

「資金収支計算書」は、支払資金の増減を表します。
よって、棚卸資産の処理は、購入時すなわち代金を払った時点の仕訳で終了です。物として幾ら残っていても、もうお金を払ってしまったのだから関係ないという考え方です。

それに対し、「事業活動計算書」は、資産の増減表します。
よって、購入時にお金としては出ていったけれども同価値の棚卸資産が残っているのだから、全体として資産に影響はない。販売して初めて棚卸資産という資産が減少すると考えるのです。


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4.1.9.4  決算における棚卸高の仕訳を教えてください。

  前年度末に計上した貸借対照表の棚卸資産の残高を全額減少させ、新たに棚卸資産を全額計上します。
期首と期末の差額を処理する方法は、行いません。

【仕訳例】  
材料  前年度末棚卸高  15,000円  当年度末棚卸高  18,000円の決算仕訳は以下のとおりです。

借 方 貸 方 摘 要
期首材料棚卸高 15,000 原材料 15,000 前年度末棚卸高戻し

借 方 貸 方 摘 要
原材料 18,000 期末材料棚卸高 18,000 当年度末棚卸高計上


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4.1.9.5  決算における商品、製品、仕掛品の棚卸高は、どのように計算したらいいですか?

  商品、原材料は、購入価額で評価します。

製品、仕掛品は、加工等の作業が加わっていますので原材料の購入価額に人件費・経費を加えた製造原価を計算し、この金額で評価しなければなりません。

厳密には「原価計算」という方法で計算するのですが、結構難しいです。

その製品等を作るのにかかった人件費・経費をざっと見積もって計算してかまいません。

”ざっと”と言いましたが、適当でいいというわけではありません。そんなに手間暇掛けなくてもいいという意味です。

大まかなルールを作り、毎年度同じように計算してください。

もちろん、原価が売価を上回らないように注意してくださいね。



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4.1.9.6  就労支援事業において、製品、原材料はだいたい常に一定で、金額的にもわずかです。
棚卸は、省略できますか?

  そのような場合、省略することができます。

「社会福祉法人会計基準」2  一般原則  (4)重要性の原則に関する規定及び「社会福祉法人会計基準注解」(注2)重要性の原則の適用についてが根拠になります。

「重要性の原則」は強い味方です


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