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社会福祉法人会計基準Q&A(会計実践編)
4.1.8
積立資産・積立金について
4.1.8.1
旧基準の「○○積立預金」が、新基準では「○○積立資産」に変わりましたが、内容にも変化があったのでしょうか?
積立金の裏付資金としては、積立預金を保有するのが一般的ですが、国債等の有価証券を保有する場合もありました。これらは、運用形態は異なりますが目的は同じですから同一の科目とするのが適切と思われます。従って、「積立預金」に限定しないで範囲を広げて「積立資産」に変更しました。
4.1.8.2
貸借対照表の積立資産と積立金の額が同額になっていません。積立資産の方が多くなっています。
積立金への計上方法を教えてください。
積立金は一定の範囲内で将来の特定の目的の支出のために積み立てるものです。その裏付資金が必要ですから、基本的に同額の積立資産が積み立てられます。
すなわち、法人の決定による積立金が先にあり、それに合わせて同額の積立預金を積み立てます。
まず、積立金の残高を確認してください。
必要額になっていれば、積立預金が過大ですから積立預金を取り崩しますし、逆に足りなかったのであれば、積立金を積立ます。
要するに、正しい残高(法人が必要とする積立額)に合うようにするということです。
4.1.8.3
貸借対照表の積立資産と積立金の額が同額になっていません。積立金のほうが多くなっています。
4.1.8.4
積立資産の通帳に受取利息が付きました。処理の仕方を教えてください。
積立資産と積立金が不一致になるということですね。
積立金を積み増すことも考えられますが、利息分は普通預金等に入金し積立資産は従来金額を維持すればよいでしょう。
利息については受取利息配当金収益で計上します。
4.1.8.4.1
積立金に対応する積立資産の通帳に受取利息が入金されないようにするにはどうしたらよいですか。
各金融機関の窓口でお願いすれば、預金利息を他の通帳への入金を対応してくれるようです。
4.1.8.5
○○積立金を積立ましたが、その年度中に対応する○○積立資産を積み立てることができませんでした。その場合の処理を教えてください。
決算作業中に積立金の積立が決定されたような場合には、積立金の積立は仕訳だけで済みますから問題ありませんが、積立資産の積立は、実際の預金等の移動が必要ですから、年度中に実施できないケースがあります。
しかし、積立資産の処理を次年度処理にすると、貸借対照表で積立金と積立資産が不一致になり好ましくありません。そこで、次のような方法が考えられます。
(1)資金移動があったような処理をする方法
実際の資金移動はありませんが、年度中に移動したように処理します。銀行の残高証明書は、合計で確認することになります。
(2)未払金で処理する方法
預金はそのままで、[○○積立預金/未払金]の仕訳を行います。資産側だけみると、流動預金と積立資産が重複して計上されることになります。
いずれも考えられますが、(1)の方が、貸借対照表が膨らまない点でいいかもしれません。
いずれにしても、次年度に早急に実際の積立預金を積み立てることが重要です。
4.1.8.6
決算時、積立金を計上せずに積立資産を積み立てました。注意することはなんですか。
理事会の積立金積立の承認前に資金を積立資産に移動させ、結果的に積立資産のみが積立てされている場合には、積立金について理事会の承認後、速やかに積立金へ計上してください。
社会福祉法人会計基準【注解】(20)で「積立金を計上する際には同額の積立資産を積みたてるものとする」とあることから、貸借対照表においても積立資産と積立金が同額でないのは好ましくありません。
4.1.8.7
時価会計が導入されたことを考えると、積立資産の管理は安全、確実な方法という要件はなくなったのでしょうか。
時価会計の適用は、情報を開示する目的であって、決してリスクを認めるように変わったわけではありません。従来通り、運用管理は安全、確実な方法で行ってください。
4.1.8.8
人件費積立金を積み立てる仕訳を教えてください。
人件費積立金を積み立てる場合、同額の人件費積立預金の積立も必要です。
【仕訳例】
借 方 |
貸 方 |
摘 要 |
人件費積立預金 |
1,000,000 |
預金 |
1,000,000 |
積立資産の積立て |
その他の積立金積立額 |
1,000,000 |
人件費積立金 |
1,000,000 |
積立金へ計上 |
4.1.8.9
修繕積立金を取り崩します。仕訳を教えてください。
【仕訳例】
借 方 |
貸 方 |
摘 要 |
預金 |
1,000,000 |
積立資産 |
1,000,000 |
修繕積立資産の取り崩し |
借 方 |
貸 方 |
摘 要 |
その他の積立金 |
1,000,000 |
その他の積立金取崩額 |
1,000,000 |
|
4.1.8.10
建物を建設しますが、お金が足りません。人件費積立金を取り崩して費用に充てようと思いますが、よいですか。
積立金は、理事会の承認を受けて将来の特定の目的の支出のために積み立てられたものです。
従って、原則目的外使用は認められません。
とはいっても、法人の事情によっては、そうはいかないケースもあります。
その取崩し及び新たな目的の積立について、再度理事会の承認を受けてください。
念のため、所轄庁に確認して実施してください。
4.1.8.11
運転資金が不足したため、施設整備積立資産を一時的に流用したいと思いますが、可能でしょうか。
好ましくありません。
しかし、短期間に精算できる資金的裏付けが確実にありかつ年度内の精算であれば、認められるでしょう。
4.1.8.12
就労支援事業所ですが、就労部分の収入よりもそれにかかる支出の方が多くなってしまい、工賃に影響がでてしまいました。
設備等整備積立金を取り崩さずに利用したいのですが、可能でしょうか。
積立金は原則、その他の目的のための支出への流用は認められていません。
しかし、就労支援事業に伴う自立支援給付費収入の受取時期が、事業の実施時期から遅延したような場合に限って、積立金を取り崩さずにそれに対応する資金の一部を流用(組替え)することが出来ます。
ただし、流用(組替え)して使用した資金は自立支援給付費収入を受け取ったら必ず補填してください。