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社会福祉法人会計基準Q&A(会計実践編)
5.4
リース会計
5.4.1
リースとレンタルとは、どう違いますか?
レンタルは、一般にリース会計の対象とはしません。ただし、明確に区分されてはいませんから名称で形式的に判断するのではなく、取引の実態に応じて実質的に判断することが必要です。
リース、レンタルとも、所有権は貸手にありますが、一般的な相違は以下のとおりです。
・リースは、リース会社(貸手)が貴法人(借手)の要求した物件の新品を購入します。
・レンタルは、レンタル会社(貸手)が既に所持している物件を、貴法人を含む他の顧客にも賃貸し新品とは限りません。
・リースは契約期間が長期(例:5年)、レンタルは短期(例:1週間)が多いです。
・リースの場合契約期間中に、契約破棄を行うと通常違約金が必要ですが、レンタルの場合は基本的に必要がありません。
5.4.2
リースとローンとは、どう違いますか?
ローン(割賦販売)は、一般にリース会計の対象とはしません。
リース、ローンとも、支払い方法が分割払いですが、一般的な相違は以下のとおりです。
・ローンの場合、頭金として数ヶ月分を前払いするケースが多いです。
・ローンの場合、単に借金の一種とみなされるのに対して、リースは、リース物品の貸し出しに加えてリース会社によるアフターサービス等が充実しており、金融取引以外のサービス要素を含む複合的な性格を有する取引です。
5.4.3
リース取引について、簡単に説明してください。
旧基準におけるリース取引は、「賃借料」の科目で支払時に処理して完結していました。
新基準では、所有権移転ファイナンス・リースと一部の所有権移転外ファイナンス・リースについては、借りているのではなく
買ったとみなして処理することとされました。
この場合、売買取引とするわけですから、固定資産に計上し減価償却もすることになります。また、未払金に相当する債務は「リース債務」と他の科目と区別して処理します。
ほとんどのケースは、買ったとみなさなくてよいので、簡便的に「賃借料」処理が認められますが、該当してしまった場合、結構大変です。
5.4.4
職員用駐車場として土地を5年間で、350万円のリース契約をしました。
5年ごとの更新契約です。リース資産になりますか
一般的に契約に所有権が移転する条項や、安価で購入できるなどの場合を除き、土地については「賃借料」で処理します。
5.4.5
リース取引に関する注記が増えたそうですが、具体的に教えてください。
2か所に注記します。
T 「 1.重要な会計方針
(2)固定資産の減価償却の方法」
に リース資産の減価償却の方法を記載します。
U 「 15.その他社会福祉法人の資金収支及び純資産増減の状況並びに資産、負債及び純資産の状態を明らかにするために必要な事項 」
に、オペレーティング・リース取引の一定の情報を記載します。
詳細は、社会福祉法人会計基準注解(注9)3を参照してください。
5.4.5.1
リース取引に関する注記「2.重要な会計方針」の記載例を教えてください。
新基準の「財務諸表に関する注記」に以下のとおり例示されています。
2.重要な会計方針
(2)固定資産の減価償却の方法
・リース資産
所有権移転ファイナンス・リース取引に係るリース資産
自己所有の固定資産に適用する減価償却方法と同一の方法によっている。
所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産
リース期間を耐用年数とし、残存価額を零とする定額法によっている。
※注記の番号2は法人全体用のものです。拠点区分用では、1になります。
5.4.5.2
リース取引に関する注記「15.その他社会福祉法人の資金収支及び純資産増減の状況並びに資産、負債及び純資産の状態を明らかにするために必要な事項」の記載例を教えてください。
【記載例】は、以下のとおりです。
「解約不能のオペレーティング・リース取引の対象資産に係る未経過リース料は以下のとおりである。
1年以内支払予定未経過リース料 ×××円
1年超の支払予定未経過リース料 ×××円」
ただし、重要性が乏しい場合には、注記は要しません。
※質問の注記の番号15は法人全体用のものです。拠点区分用では、12になります。
5.4.6
移行前から行っているリース取引についてもリース会計の対象になりますか?
所有権移転ファイナンス・リース取引に該当してしまった場合だけ移行時に処理することになります。
5.4.7
リース料に含まれている消費税について、区分して処理する必要はありますか?
仮払消費税として分ける必要があるかということですね。
社会福祉法人の場合、消費税を納税するケースは少なく、あっても対象となる事業はほんの一部でしょう。
従って、消費税を意識して分ける必要は全くありません。
5.4.8
消費税が上がった場合、契約中のリース料に影響はありますか?
リース契約時の消費税率がリース期間を通じて適用されますから、リース料の支払額が上がることはありません。
(注) 上記の対象となるリース取引は、所得税法又は法人税法により売買があったものとされるリース取引です。
5.4.9
リース取引には、その内容によって従来処理(「賃借料」処理)で良い場合も多いと思われますが、できるだけリース会計(資産負債処理)を適用すべきでしょうか?
できる限り従来通りの「賃借料」処理をします。
条件に該当してしまいやむを得ない場合だけ、リース会計(資産負債処理)で処理すると考えてください。
5.4.10
有形リース資産と無形リース資産の合計額とリース債務(1年内を含む)は一致しますか?
「リース資産」の減価償却と支払による「リース債務」の減少は対応しませんので、基本的に一致しません。
5.4.11
コピー機を3年間リース契約をしました。
リース期間終了時には返却するか機種変更をする事になっています。契約額は150万円です。リース資産としての処理は必要ですか。
リース料の総額が、300万円以下であることから、重要性の原則により、簡便処理ができますので、売買取引と考えず、従来通り「賃借料」として処理することができます。