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社会福祉法人会計基準Q&A(会計実践編)
6.8
内部取引には、どんなものがありますか?
6.8.1
会計基準では繰入金と名のつく勘定科目がたくさん有ります。
そもそもこの繰入金とは何ですか?
資金の異動には2種類あります。
@資金などをあげちゃって精算を要しない場合
と
A一時的に融通するけど後で返するような精算を要する場合
です。
@の場合に、繰入金収入(収益)、支出(費用)を使います。
なお、Aの場合は、貸付金、借入金で処理します。
6.8.2
法人本部からA拠点内の施設へ繰入するときの勘定科目を教えてください。
本部の仕訳科目は「拠点区分間繰入金支出(費用)」となります。A施設の仕訳科目は「拠点区分間繰入金収入(収益)」になります。
なお、同一拠点区分内の本部とA施設であれば、「サービス区分間繰入金支出(費用)」と「サービス区分間繰入金収入(収益)」になります。
また、本部とA施設の事業区分が異なれば(例えば、A施設が公益事業)、「事業区分間繰入金支出(費用)」と「事業区分間繰入金収入(収益)」になります。
難しくはないですが、面倒ですね。
仕訳例は、
Q6.8.4 B施設の運用資金不足を、A施設で補う為資金を移動しました。
仕訳を教えてください。をご覧ください。
6.8.3
法人本部の資金が足りなくなりました。
施設から繰り入れてもかまいませんか?
一般的には、当期末支払資金残高に資金不足が生じない範囲であれば、繰り入れることができます。
ただし、詳細については、厚生労働省の通知でご確認ください。
6.8.4
B施設の運用資金不足を、A施設で補う為資金を移動しました。
仕訳を教えてください。
2つの拠点間におけるお金をあげちゃった取引ですね。
以下のように仕訳します。
【A施設】
借 方 |
貸 方 |
摘 要 |
拠点区分間繰入金費用 |
500,000 |
現金預金 |
500,000 |
B施設へ送金 |
【B施設】
借 方 |
貸 方 |
摘 要 |
現金預金 |
500,000 |
拠点区分間繰入金収益 |
500,000 |
A施設から受入 |
貸しただけで、返してもらう場合は、
こちらをご覧ください。
6.8.5
本部から施設へお金を貸す事になりました。本部では繰入金支出、施設では繰入金収入で問題ありませんか?
いけません。
繰入金収入、支出は、あげちゃう場合=後で精算を要しない場合です。
貸し借りの時は、貸借対照表科目で表現しなければなりません。
勘定科目は、○○区分間貸付金・○○区分間借入金を利用しましょう。
以下のように仕訳します。
【本部】
借 方 |
貸 方 |
摘 要 |
拠点区分間貸付金 |
500,000 |
現金預金 |
500,000 |
施設へ送金 |
【施設】
借 方 |
貸 方 |
摘 要 |
現金預金 |
500,000 |
拠点区分間借入金 |
500,000 |
本部から受入 |
6.8.6
複数の保育園を運営しています。
B保育園で運営資金の不足が生じました。A保育園から借入をしてもいいでしょうか。
年度内に返済出来る場合は、いいでしょう。
繰り入れる場合は、注意が必要です。
「弾力通知」を参照してください。
6.8.7
これまで特養で利用していた車をグループホームで使用する事になりました。固定資産を移動する必要がありますか?
拠点区分は別でしょうから移管処理します。
拠点区分が同一であっても、特養とグループホームはサービス区分が異なりますから、やはり移動する必要があります。
●取得価額 1,000 (減価償却累計額 600) の車輌を例に仕訳を示します。
A拠点区分からB拠点区分へ、移管した場合
【A施設】
借 方 |
貸 方 |
摘 要 |
減価償却累計額 |
600 |
車輌運搬具 |
1,000 |
B施設へ移管 |
拠点区分間固定資産移管費用 |
400 |
|
|
|
【B施設】
借 方 |
貸 方 |
摘 要 |
車輌運搬具 |
1,000 |
減価償却累計額 |
600 |
A施設から移管 |
|
|
拠点区分間固定資産移管収益 |
400 |
|
仕訳伝票で使用する勘定科目は、事業区分間固定資産移管費用・拠点区分間固定資産移管費用・事業区分間固定資産移管収益・拠点区分間固定資産移管収益となります。
6.8.8
施設内でお菓子を製造し販売している就労支援施設ですが、販売用の箱詰めを当法人の別の作業所に依頼しています。
箱詰めに要した作業費用はどの科目で処理をしますか
外注加工費-うち内部外注加工費で処理をします。
6.8.9
法人内のA施設からB施設へ授産製品を販売します。A施設とB施設の仕訳はどうすればいいですか?
内部取引の売買ですから、仕訳が必要です。
A施設 就労支援事業収益
B施設 当期就労支援事業仕入高
を使用することになります。
6.8.10
これまでの会計で、法人本部で一括管理するようなものは、貸借対照表に経理区分勘定という科目を作りそこで処理していました。
新基準においても同様に処理すればいいですか?
また、この方法は適切ですか?
経理区分勘定は、特定の経理区分(質問のケースは本部)で一括処理し、そのうち他の経理区分の持分を間接的に表現するために使用されました。
新基準では、想定されていませんから使用しません。
該当する以下の勘定科目等に、ムリムリ分けることになるでしょう。
資産の経理区分勘定 |
負債の経理区分勘定 |
事業区分間貸付金 |
事業区分間借入金 |
拠点区分間貸付金 |
拠点区分間借入金 |
サービス区分間貸付金 |
サービス区分間借入金 |