第3章 決算書は、こう変わった!

(1)様式の変更

2つの収支計算書の様式等について、変更がありました。

以下のとおりです。

資金収支計算書

【旧基準】 【新基準】  変更点
<<資金収支計算書>> <<資金収支計算書>> 新基準も、様式名は変わりません
<経常活動による収支> <事業活動による収支> 事業に関するものだけに限定しました
     
     
 経常活動資金収支差額  事業活動資金収支差額  
<施設整備等による収支> <施設整備等による収支> ここは、変わりません
     
     
 施設整備等資金収支差額  施設整備等資金収支差額  
<財務活動による収支> <その他の活動による収支> 財務に限定せず、範囲を広げその他にしました
     
     
 財務活動資金収支差額  その他の活動資金収支差額  
 当期資金収支差額合計  当期資金収支差額合計 ここは、変わりません
 前期末支払資金残高  前期末支払資金残高  〃 
 当期末支払資金残高  当期末支払資金残高  〃

なお、「資金収支計算書」の構成については、 Q2.2.4 「資金収支計算書(第1号の1様式)」の構成の変更を教えてください。もご覧ください。


「○○による収支」の区分間で、勘定科目が異動したものがあります。それについては、 Q2.2.5 構成の変更に伴い勘定科目の表示位置の変わったものがあれば教えてください。をご覧ください。


事業活動計算書

徹底して、「収支」の名称を廃止して、「増減」に変えました。

【旧基準】 【新基準】  変更点
<<事業活動収支計算書>> <<事業活動計算書>> 収支の文字が取れました
<事業活動収支の部> <サービス活動増減の部> 事業からサービスに変わりました
     
     
事業活動収支差額 サービス活動増減差額  
<事業活動外収支の部> <サービス活動外増減の部> 事業からサービスに変わりました
     
     
事業活動外収支差額 サービス活動外増減差額  
経常収支差額 経常増減差額
<特別収支の部> <特別増減の部>  
     
     
特別収支差額 特別増減差額  
当期活動収支差額 当期活動増減差額
<繰越活動収支差額の部> <繰越活動増減差額の部>  
前期繰越活動収支差額 前期繰越活動増減差額  
当期末繰越活動収支差額 当期末繰越活動増減差額  
     
次期繰越活動収支差額 次期繰越活動増減差額  

なお、「事業活動計算書」の構成については、 Q2.2.8 「事業活動計算書(第2号の1様式)」の構成の変更を教えてください。もご覧ください。


「○○の部」の区分間で、勘定科目が異動したものがあります。それについては、 Q2.2.9 構成の変更に伴い勘定科目の表示位置の変わったものがあれば教えてください。をご覧ください。

(2)注記の充実

@変わった点

「旧基準」では、7項目でした。(ただ、実際には、記載されてない法人が多かったようですが)

「新基準」では、8項目追加されて、15項目にもなりました。

経営内容をより正確に説明できるようにというのが理由です。

なお、対象となる範囲(法人全体用の財務諸表か拠点区分用の財務諸表か)ごとに、それぞれ記載することになりました。内容はほとんど同じですが、手間がかかります。

Aどこに書くの?

注記は、財務諸表の一部の位置付けです。

法人全体用は、○○事業区分貸借対照表(第3号様式の3様式)の次に書きます。

拠点区分用は、○○拠点区分貸借対照表(第3号様式の4様式)の次に書きます。

B何を書くの?

下の表のような内容です。かなりのボリュームですね。

でも、最初一回作ってしまえば金額の部分を除き変更は少ないでしょうから、後は楽になります。


内容について詳しくは、 Q2.3 注記をご覧ください。

【旧基準】 【新基準】 法人全体用 拠点区分用
継続事業の前提に関する注記
あり 重要な会計方針
あり 重要な会計方針の変更
法人で採用する退職給付制度
法人が作成する財務諸表等と拠点区分、サービス区分
あり 基本財産の増減の内容及び金額
あり 会計基準第3章第4(4)及び(6)の規定による
      基本金又は国庫補助金等特別積立金の取崩し
あり 担保に供している資産
固定資産の取得価額、減価償却累計額及び当期末残高
10 債権額、徴収不能引当金の当期末残高、債権の当期末残高
11 満期保有目的の債券の内訳並びに帳簿価額、時価及び評価損益
12 関連当事者との取引の内容
13 重要な偶発債務
あり 14 重要な後発事象
あり 15 その他社会福祉法人の資金収支及び純資産増減の状況並びに
      資産、負債及び純資産の状態を明らかにするために必要な事項

○:必ず作成してください。内容がない場合でも、「該当なし」と書いてください。

△:記載する内容がない場合は、省略できます。

−:不要です。

(3)附属明細書の充実

@変わった点


「旧基準」でも、別表とか明細表とかいろいろ定められていました。

「新基準」では、「財務諸表」を補足する位置づけで、重要と思われる項目を追加するとともに共通フォームに整備しました。

A具体的内容


「社会福祉法人会計基準」第6章2(2)には4つの具体的な明細書(様式:別紙1〜4)とその他の明細書が定められています。

さらに、その他の明細書として、「社会福祉法人会計基準適用上の留意事項(運用指針)」23には19の具体的な明細書(様式:別紙@〜R)が定められています。

まとめると、以下のようになります。

【附属明細書】    
(拠点区分で作成する明細書)
基本財産及びその他の固定資産の明細書 別紙1  
引当金の明細書 別紙2  
拠点区分資金収支明細書 別紙3  
拠点区分事業活動明細書 別紙4  
その他重要な事項に係る明細書  
   (法人全体で作成する明細書)  
  借入金明細書 別紙@  
寄附金収益明細書 別紙A  
補助金事業等収益明細書 別紙B  
事業区分間及び拠点区分間繰入金明細書 別紙C  
事業区分間及び拠点区分間貸付金(借入金)残高明細書 別紙D  
基本金明細書 別紙E  
国庫補助金等特別積立金明細書 別紙F  
(拠点区分で作成する明細書)    
   積立金・積立資産明細書 別紙G  
サービス区分間繰入金明細書 別紙H  
サービス区分間貸付金(借入金)残高明細書 別紙I  
就労支援事業別事業活動明細書 別紙J 就労
就労支援事業別事業活動明細書(多機能型事業所等用) 別紙K
就労支援事業製造原価明細書 別紙L
就労支援事業製造原価明細書(多機能型事業所等用) 別紙M
就労支援事業販管費明細書 別紙N
就労支援事業販管費明細書(多機能型事業所等用) 別紙O
就労支援事業明細書 別紙P
就労支援事業明細書(多機能型事業所等用) 別紙Q
授産事業費用明細書 別紙R 授産


明細書関係で、「旧基準」で定められていた「固定資産管理台帳」が附属明細書にはなくなりました。

しかし、不要になったわけではありません。資産の管理を行うためなので明細書からはずされただけです。重要な資料ですから、作成しなければなりません。

様式は示されていませんから、法人独自でもよいでしょうが、旧基準の「固定資産管理台帳」をそのまま使えば結構です。


「附属明細書」については、 Q2.4 附属明細書をご覧ください。