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社会福祉法人会計基準Q&A(会計実践編)
2.3
注記
2.3.1
注記内容が大幅に拡充されたと聞きました。概略を教えてください。
旧基準においても注記は規定されていましたが、記載されていない法人も多かったようです。
新基準では、財務諸表を補足する資料として明確に位置づけられ大幅に拡充されました。
注記は、法人全体と拠点区分の2か所に記載します。
法人全体用:15項目あります。
拠点区分用:12項目あります。
|
注記項目 |
法人全体用 |
拠点区分用 |
|
継続事業の前提に関する注記 |
1 |
− |
|
重要な会計方針 |
2 |
1 |
|
重要な会計方針の変更 |
3 |
2 |
|
法人で採用する退職給付制度 |
4 |
3 |
|
法人が作成する財務諸表等と拠点区分、サービス区分 |
5 |
4 |
|
基本財産の増減の内容及び金額 |
6 |
5 |
|
会計基準第3章第4(4)及び(6)の規定による基本金又は国庫補助金等特別積立金の取崩し |
7 |
6 |
|
担保に供している資産 |
8 |
7 |
|
固定資産の取得価額、減価償却累計額及び当期末残高 |
9 |
8 |
|
債権額、徴収不能引当金の当期末残高、債権の当期末残高 |
10 |
9 |
|
満期保有目的の債券の内訳並びに帳簿価額、時価及び評価損益 |
11 |
10 |
|
関連当事者との取引の内容 |
12 |
− |
|
重要な偶発債務 |
13 |
− |
|
重要な後発事象 |
14 |
11 |
|
その他社会福祉法人の資金収支及び純資産の増減の状況並びに資産、負債及び純資産の状況を明らかにするために必要な事項 |
15 |
12 |
もちろん残念ながら一部注記を除き省略することはできません。
しかし、
一度作成すれば次年度以降は、同じ項目が多いですからそんなに負担にはならないでしょう。
省略できる注記につきましては、
こちらをご覧ください。
2.3.2
記載を省略できる注記を教えてください。
注記は、法人全体の記載と拠点区分の記載の2種類あります。
拠点が1つの法人は、両方とも同じ内容になりますから、拠点区分の注記は省略できます。
記載する内容がない場合には、会計基準第5章の(1)(3)(9)(10)の項目は省略することができます。それ以外の項目は省略できません。
省略できない注記の場合、記載する内容がない場合でも、「該当なし」と記載してください。
2.3.3
注記「1.継続事業の前提に関する注記」の記載例を教えてください。
事業ごとに判断するのではなく、法人として事業存続に疑義が生じた場合が対象となりますから、ほとんどの場合は、「該当なし」と記載することになるでしょう。
万が一、解散命令等により事業が継続できない場合は、記載することになります。
2.3.4
注記「3.重要な会計方針の変更」の記載例を教えてください。
記載例は、以下のとおりです。
【記載例】
前年度まで、機械及び装置について減価償却方法は定額法を採用しておりましたが、当年度より定率法に変更しました。
この変更は、収益との対応性をより適切に行うためのものです。
この変更により、減価償却費は、200千円増加しています。
※質問の注記の番号3は法人全体用のものです。拠点区分用では、2になります。
2.3.5
注記「4.法人で採用する退職給付制度」の記載例を教えてください。
記載例は、以下のとおりです。
【記載例】
職員の退職金の支給に備えるために全国社会福祉協議会の退職共済制度に加入しております。
退職給付引当資産及び退職給付引当金は、掛金累計額で計上しています。
※質問の注記の番号4は法人全体用のものです。拠点区分用では、3になります。
2.3.6
注記「13.重要な偶発債務」の記載例を教えてください。
記載例は、以下のとおりです。
【記載例】
当法人は、○○苑の建物建設に関し係争中であり、××建設鰍ノ損害賠償請求の訴えを起こしています。
2.3.7
注記「14.重要な後発事象」の記載例を教えてください。
記載例は、以下のとおりです。
【記載例】
○○保育園の引き受け
当法人は、平成○○年4月1日より、社会福祉法人○○会の○○保育園を引き受け事業を開始する予定です。
※質問の注記の番号14は法人全体用のものです。拠点区分用では、11になります。
2.3.8
注記「15.その他社会福祉法人の資金収支及び純資産の増減の状況並びに資産、負債及び純資産の状況を明らかにするために必要な事項」の記載例を教えてください。
【記載例】は、
こちらをご覧ください。
※質問の注記の番号15は法人全体用のものです。拠点区分用では、12になります。
2.3.9
注記「6.基本財産の増減の内容及び金額」の金額は、取得価額と帳簿価額のいずれを記載すればよいでしょうか?
基本財産は、ほとんどの場合一定ですからから、「当期増加額」「当期減少額」に記載されることは少ないでしょう。
唯一、建物だけは「当期減少額」に減価償却費が毎年度記載されます。
つまり、建物の金額は、この表が現在価値を示すのが目的ですから、帳簿価額で記載することになりますね。
※質問の注記の番号6は法人全体用のものです。拠点区分用では、5になります。
2.3.10
注記「8.担保に供している資産」の金額は、建物の場合、取得価額と帳簿価額のいずれを記載すればよいでしょうか?
担保価値を示すのが目的ですから、帳簿価額で記載してください。
もちろん、設備資金借入金等も当初の借入金額ではなく期末残高を記載してください。
※質問の注記の番号8は法人全体用のものです。拠点区分用では、7になります。
2.3.11
関連当事者との取引について注記するのはなぜ必要ですか?
法人と関連当事者の取引は、対等な立場で行われないケースがあり、法人の財務内容に影響を及ぼすことがあります。
この影響を把握できるように注記が必要になりました。
2.3.11.1
関連当事者について簡単に説明してください。
有給常勤役員とその3親等内の親族及びこの者と特別の関係にある者(事実上の配偶者や養ってもらっている人など)を言います。
詳細は、「社会福祉法人会計基準注解」(注22)及び「社会福祉法人会計基準適用上の留意事項(運用指針)」22 関連当事者との取引について を参照してください。