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社会福祉法人会計基準Q&A(会計実践編)
5.3
金融商品会計
5.3.1
有価証券とはどのようなものですか?
厳密な定義は必要ないので省略し、社会福祉法人で扱いそうなものを例示します。
「有価証券」(「投資有価証券」を含む)は、次のようなものです。
1.国債、地方債、社債等の債券
2.投資信託の受益証券
3.株式
以下のものは、会計上「有価証券」ではなく別の科目で処理します。
小切手:「現金預金」
こちらをご覧ください。
手形:「受取手形」または「支払手形」
商品券:「現金預金」または「貯蔵品」
こちらをご覧ください。
なお、「貯蔵品」については
こちらをご覧ください。
5.3.2
償却原価法の考え方を教えてください。
満期(償還)まで保有する国債等について、購入金額と額面(償還価額=戻ってくる金額)の差額を受取利息として考えて、保有期間にわたり毎年規則的に配分する方法です。
(注)厳密に言うと、上記は簡便法です。複雑な計算の利息法がありますが、継続適用すれば簡便法でOKですから、利息法については省略します。
5.3.3
償却原価法の対象となる有価証券を教えてください。
満期時に一定額が確実に戻ってくることが決まっていることが必要ですから、国債、地方債、社債等の債券が該当します。
5.3.4
満期保有目的は、あくまで主観的なものでよろしいですか?
購入時点で、
満期まで持つつもりであれば対象になります。従って、主観的なものですね。
5.3.5
金利の調整とは、何ですか。
皆様は、購入金額が額面より高くても逆に安くても、その差額の金額と保有期間中の受取利息を合算し、トータルの利回りを判断して、債券の購入をするかどうか決定しているはずです。
すなわち、購入金額と額面の差額を実質的に金利とみなしていますから、金利の調整と呼ぶのです。
5.3.6
受取利息がマイナスの仕訳になってもいいですか?
購入金額が額面より高い場合には、償却原価法で配分するときには受取利息のマイナスになってしまいますが差し支えありません。
5.3.7
○○積立資産として国債を所有している場合も、償却原価法の対象とすべきですか?
積立資産であってもその会計的性格は変わりませんから償却原価法の対象になります。
5.3.8
元本が保証されない有価証券(たとえば株式)を保有してもいいですか?
資金を有意義に事業に使うためにはリスクは避けるべきですから、好ましくありません。
5.3.9
市場価格とは、何ですか。
市場において形成されている取引価格、気配または指標等の相場の価額をいいます。
市場価格は、日本経済新聞等の日刊新聞、日本証券業協会や各証券会社等のHPで確認できますが、有価証券を購入した金融機関等に確認するのが確実簡単です。
5.3.10
「有価証券評価損」と「資産評価損」はどう使い分ければいいですか?
「有価証券評価損」は市場価格がある有価証券を時価評価した時の評価損です。
相場変動による一時的な評価損を処理する科目です。
「事業活動計算書」の<サービス活動外増減の部>の科目になります。
「資産評価損」は強制評価損(50%超下落かつ回復の見込みがない場合)の評価損です。
臨時的な多額の評価損を処理する科目です。
「事業活動計算書」の<特別増減の部>の科目になります。
5.3.11
たまたま決算時に時価が上がった場合でも、「有価証券評価益」を計上すべきでしょうか?
ルール上はすることになっています。
しかし、不確実で一時的な利益ですから計上しなくてもよい考え方もあるのではないでしょうか。
5.3.12
満期保有目的でドル建てのアメリカ国債を購入した場合、決算においてどう処理するのでしょうか?
まあこんなケースはないでしょうから、こんなやり方もあるんだぐらいの気持ちで読んでください。
満期保有目的の債券ですから、償却原価法をドルベースで適用します。
次に為替換算は、受取利息部分と、有価証券の期末残高部分とそれぞれ行います。
受取利息:期中平均相場(AR)で換算します。
有価証券残高:決算時相場(CR)で換算します。
難しいですね。
5.3.13
国債を所有していますが、その利払いは12月です。
厳密に考えれば決算において、1〜3月分は未収の受取利息が発生します。計上すべきでしょうか?
多額であれば、未収収益として計上すべきでしょう。通常は、重要性に乏しい金額でしょうし、毎年度同じように発生するものですから計上しなくても結構です。
5.3.14
有価証券に関する注記が増えたそうですが、具体的に教えてください。
2か所に注記します。
T 「 2.重要な会計方針
(1)有価証券の評価基準及び評価方法」
に 有価証券の種類別に記載します。
U 「 11.満期保有目的の債券の内訳並びに帳簿価額、時価及び評価損益 」
に、補足情報として記載します。
詳細は、財務諸表に関する注記を参照してください。
※注記の番号2及び11は法人全体用のものです。拠点区分用では、1と10になります。