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社会福祉法人会計基準Q&A(会計実践編)
4.5.1
取得について
4.5.1.1
年度途中に土地を購入しました。
その土地の取得以降の固定資産税について前所有者に支払いましたが、どんな科目で処理をすればいいですか。
取得後に対応する固定資産税は当然法人が負担すべきです。市町村ではなく前使用者に支払っても租税公課で処理します。
4.5.1.2
老朽化した建物付の土地を購入しました。
建物は取り壊して新設します。この場合、建物の取り壊し費用は、どう計上したらいいのでしょうか。
現在の建物を取り壊さないと、更地として利用できないと考えます。
すなわち、土地を取得するための費用ですから、土地の取得価額に含めます。
4.5.1.3
建物付の土地を購入しました。
土地代のみの取引ですが、この建物を改修して倉庫に利用出来そうです。この場合の改修費用は?
建物の部分について、取引上も建物として認識しない事から、現在の価値はないものと思われます。
それを改修して倉庫となるのであれば、新しく倉庫を取得したと考えて処理をします。
よって、改修費用は「建物」の取得価額で処理します。
4.5.1.4
一つの部屋を間仕切りして2つの部屋に改修しました。70万円掛かりましたが、「修繕費」として計上してもよいですか?
改修することによって資産の価値があがると思われますので、「建物」の取得として処理します。
4.5.1.5
「修繕費」と固定資産の取得の区別のルールを教えてください。
既存の固定資産に追加する支出の処理ですね。
一般的に当該固定資産の価値を高めるもの、耐用年数が伸びるもの、明らかな追加工事、取り替えであっても機能がかなりアップするものは、固定資産の取得(「資本的支出」)に該当します。
それ以外の支出で判断に迷った時は、以下の何れかに該当すれば「修繕費」としてください。
・支出金額が、20万円未満
・支出の周期が、3年以内
・支出は、通常の維持管理のため
・支出は、災害等でき損したものの原状回復費用
4.5.1.6
屋根の防水工事を行いました。「修繕費」でよいですか?
4.5.1.7
前年度末に完成した建物の追加工事が発生しました。
壁の一部を補強し、費用は25万円でした。この追加工事分はどう処理をしたらいいでしょうか?
4.5.1.8
砂地だった駐車場をアスファルト敷きにして駐車区分のラインを引きました。
修繕費として計上してもよいですか?
4.5.1.9
建物の耐震診断を行い、その結果建物一部を建て替えることとなりました。
耐震診断の費用は建物勘定に含めてもいいでしょうか?
4.5.1.9.1
建物の耐震工事を行いました。耐用年数は何年にすればいいですか?
4.5.1.10
園庭にブランコを設置する事になりました。勘定科目は何ですか?
仕訳科目は固定資産−その他の固定資産−構築物、予算科目は固定資産取得支出−構築物取得支出となります。
4.5.1.11
ジャングルジムを購入します。代金35万円のうち、20万円が町の助成金、残りが法人負担になります。処理について教えてください。
「構築物」の取得とともに、「国庫補助金等特別積立金」の積立も必要です。
【仕訳例】
借 方 |
貸 方 |
摘 要 |
構築物 |
350,000 |
施設整備等補助金収入 |
200,000 |
ジャングルジム購入補助 |
|
|
現金預金 |
150,000 |
|
借 方 |
貸 方 |
摘 要 |
国庫補助金等特別積立金積立額 |
200,000 |
国庫補助金等特別積立金 |
200,000 |
ジャングルジム購入補助金積立 |
4.5.1.12
ビニールハウスを取得しました。 科目は何で処理をすればいいでしょうか。
「建物」で処理してください。
耐用年数は、簡易建物の7年で良いでしょう。
4.5.1.13
園児の卒園記念に桜の木を植樹しました。
1本2万5千円でした。仕訳科目は何で計上したらよいですか?
かなり違和感がありますが、1本10万円未満であれば、事業費−消耗器具備品費、10万円以上であれば、その他の固定資産−構築物になります。
なお。事業費−消耗器具備品費については旧基準では事業費−器具什器費でした。
4.5.1.13.1
桜の木1本2万5千円でしたが、10本購入して植樹しました。この場合でも、消耗器具備品費でいいですか?
解釈が分かれるところです。
固定資産にするかどうかは、1セットで使用するかどうかで判断します。
例えば、応接セットは、トータルで10万円以上かどうかで判定します。
教室の、机椅子やカーテンも教室単位で1セットと考えます。
卒園記念の植樹の場合は、1セット25万円と考え、固定資産(構築物)にする方がよいと思われます。
4.5.1.14
利用者の授産製品を作るために旋盤機械を購入しました。
機械及び装置に計上していいですか?
その他の固定資産−器具及び備品に計上する方が良いです。
一般的に機械及び装置に計上する物品は、工場で使う少なくても数百万するような機械設備一式となります。
4.5.1.15
血圧計測装置を、購入しました。「器具及び備品」ではなく「機械及び装置」に該当するのでしょうか?
名称に機械とか装置とか付いていても、ほとんどの場合「器具及び備品」に該当します。
「機械及び装置」になるのは、授産や就労で製造を行っている場合に限定されるでしょう。
こちらもご覧ください。
4.5.1.16
補助金を使って機械を購入しました仕訳を教えてください。 機械1000万円 補助金750万円 自己資金250万円です。
以下の様に仕訳してください。
補助金入金時の仕訳
借 方 |
貸 方 |
摘 要 |
現金預金 |
7,500,000 |
施設整備等補助金収益 |
7,500,000 |
機械購入補助金入金 |
機械購入時の仕訳
借 方 |
貸 方 |
摘 要 |
機械及び装置 |
10,000,000 |
現金預金 |
10,000,000 |
機械代金支払 |
国庫補助金等特別積立金積立額 |
7,500,000 |
国庫補助金等特別積立金 |
7,500,000 |
機械購入補助金積立 |
4.5.1.17
福祉車輌(スロープ付き)を購入しました。普通乗用車と同様に処理して良いですか?
良いです。
ただし、固定資産管理台帳に記載する耐用年数は通常の車輌運搬具の6年ではなく3年にします。
4.5.1.18
日本財団の助成事業により車を購入しました。仕訳について教えてください。
【取引例】
日本財団からの助成分2,000,000円は、車の販売店に直接支払われ、残金の1,000,000円は、法人が現金で支払った。
【仕訳例】
借 方 |
貸 方 |
摘 要 |
車輌運搬具 |
3,000,000 |
|
|
日本財団助成 ワゴン車 |
|
|
現金預金 |
1,000,000 |
法人負担分 ワゴン車 |
|
|
施設整備等補助金収益 |
2,000,000 |
日本財団助成分 ワゴン車 |
国庫補助金等特別積立金積立額 |
2,000,000 |
国庫補助金等特別積立金 |
2,000,000 |
日本財団助成 ワゴン車 |
4.5.1.18.1
日本財団から助成された車輌について、取得価額が分かりません。どうすればいいですか?
まず、助成元の日本財団さんに確認してみましょう。
次に、車の販売店に確認してみましょう。
それでもわからない場合は、車種からおおよその金額を調べて取得価額とします。
受入価額については、
こちらをご覧ください。
4.5.1.19
車輌購入時に一括で値引きをしてもらいました。車輌本体や諸費用(保険、税金、登録費用等々)を異なる勘定科目で処理しています。値引き分はどこに含めればよいですか?
値引きは、本体価格から控除してください。
4.5.1.20
現在所有している車輌を下取りにして新しい車輌を購入します。
その際の仕訳を教えてください。
【取引例】
取得価額 800,000円、減価償却累計額 500,000円(帳簿価額 300,000円)
の車輌を350,000円(もうけが50,000円)で下取りをしてもらう場合。
購入車輌 1,000,000円 について、上記下取り350,000円を差し引いて、現金650,000円支払った。
【仕訳例】 直接法の場合
借 方 |
貸 方 |
摘 要 |
車輌運搬具 |
1,000,000 |
車輌運搬具 |
300,000 |
下取り車輌簿価 |
|
|
車輌運搬具売却益 |
50,000 |
売却益 |
|
|
現金 |
650,000 |
現金支払い |
【仕訳例】 間接法の場合
借 方 |
貸 方 |
摘 要 |
車輌運搬具 |
1,000,000 |
車輌運搬具 |
800,000 |
下取り車輌取得価額 |
減価償却累計額 |
500,000 |
|
|
|
|
|
車輌運搬具売却益 |
50,000 |
売却益 |
|
|
現金 |
650,000 |
現金支払い |
4.5.1.21
車輌を購入したときに、内訳として重量税や取得税とあります。
車輌の取得価額に含めてもいいの?
4.5.1.22
車輌購入時に発生するリサイクル預託金の科目は何ですか?
戻ってくるお金ですから、資産になりますが、直接該当する科目はありません。
固定資産−その他の固定資産−その他の固定資産で処理してください。
4.5.1.23
車輌に係るリサイクル料について、当法人では車輌に含めて減価償却をしてきました。
この度、法人監査で指摘を受けました。過去に遡って修正する必要がありますか?
一般的に過去に決算が確定したら、遡って修正する事は殆どありません。
また、当年度で修正するとしても、車輌価額に含めていると過年度の減価償却の額から変わってきますので、固定資産価額に影響します。
さらに、何年度からの適用分が車輌価額に含まれているかなど、詳細な調査が必要ですから、所有している車輌の台数が多ければ時間もかかります。
以上のことから、次回の新規購入時からリサイクル料を処理するようにしても許されるのではないでしょうか。
4.5.1.24
車を売る予定はありません。廃棄になるまで乗りつづけるつもりです。
リサイクル料を車輌代金に含めてもよいですか?
原則は計上しなければなりません。
確実に廃車になるまで使用するのであれば、「車輌運搬具」に含めて処理してもかまわないと思います。(監査では、指摘されるでしょうが…)
4.5.1.25
エアコンを取得しました。本体は10万円未満ですが取り付け工事費を入れると10万円を超えます。
取付工事費は手数料としてもいいですか?
エアコンなど取り付けないと使えませんし、一般的には業者が取り付けます。
この様なものは取得価額に含めて考え、1つ、または一組が10万円を超えるようであれば、固定資産とします。
4.5.1.26
20万円で絵画を購入し、施設内に設置しました。
勘定科目は何ですか?
その他の固定資産−器具及び備品となります。
注意しなければならない点は、減価償却できるかどうかです。
美術的価値があるものは、時の経過によって価値が下がるわけではありませんから減価償却できません。
それ以外は、通常の「器具及び備品」として5年で減価償却してください。
美術的価値については、
Q4.5.1.26.1 美術的価値について、どう判断すればいいでしょうか?をご覧ください。
4.5.1.26.1
美術的価値について、どう判断すればいいでしょうか?
難しいですね。
一般的には、法人税法の書画骨とうに関する通知が参考になります。
実質的に判断することが原則ですが、できない場合には形式的に以下のように判断します。
20万円(絵画の場合、号2万円)未満であれば、美術的価値はないとして減価償却してください。
それ以上の場合、美術的価値があり価値は下がらないと考え減価償却はしません。
4.5.1.27
応接セットを購入しました。ソファ−は単価7万円が3脚と135,000円が1脚です。
固定資産に計上しなければいけませんか?
応接セットは、通常1個1個別の部屋で使わず、1セットとして使用するでしょう。
従って、合計金額345,000円で判定しますから、固定資産になります。
4.5.1.28
パソコンを購入しました。取得価額は68,000円でした。
固定資産になりますか?
10万円未満ですから、固定資産になりません。
使用目的によって、「事業費−消耗器具備品費」 か 「事務費−事務消耗品費」 になるでしょう。
4.5.1.29
助成金の交付を受け、談話室で利用する大型テレビを200,000円で購入しました。
なお、支払いについては電気店へ直接支払われ、法人からは振込をしません。
仕訳はどうなりますか?
【仕訳例】
借 方 |
貸 方 |
摘 要 |
器具及び備品 |
200,000 |
施設整備等補助金収益 |
200,000 |
大型テレビ取得 |
国庫補助金等特別積立金積立額 |
200,000 |
国庫補助金等特別積立金 |
200,000 |
補助金へ計上 |
4.5.1.30
パソコンを全額県の補助金の交付を受け95,000円で取得しました。当年度の処理について教えてください。
【仕訳例】
借 方 |
貸 方 |
摘 要 |
消耗器具備品費 |
95,000 |
施設整備補助金収益 |
95,000 |
パソコン取得(県補助) |
国庫補助金等特別積立金積立額 |
95,000 |
国庫補助金等特別積立金 |
95,000 |
補助積立金へ計上 |
4.5.1.31
法人が使うソフトウェアを、法人職員が業務として作成しました。
そのコストは、給料換算すると一定の金額になりますが、何らかの処理は必要ですか?
企業会計においては、自らが使うソフトウェアを作成した場合、その作成にかかった人件費と経費等を見積もって固定資産(ソフトウェア)に計上するのが原則です。
社会福祉法人の場合、そのようなケースは通常考えられませんので、特に処理することもないでしょう。
4.5.1.32
パソコンにソフトを設定してもらい、一括で購入しました。
金額の内訳は不明なのですが、ハード部分(「器具及び備品」)とソフト部分(「ソフトウェア」)に適当に分けて処理すべきでしょうか?
一括購入の場合、分ける必要はありません。それぞれ独立したものとして購入した場合だけ、分けて処理することになります。
4.5.1.33
「権利」の具体的な内容を教えてください。
電話加入権(残念ながら価値はありませんが・・・)、特許権、営業権、使用権などが挙げられます。